しかし、好きに改革できるという面白さに気付く。昭和8年創業の林田酒店は父方の家業だが、母方の家業は幕末から続く京都郡の造り酒屋・林龍平酒造場だ。

「酒店の息子と造り酒屋の娘が結婚して、生まれた私は日本酒のサラブレッド(笑)」

 と笑う。北九州市小倉南区に隣接する京都郡には現在、酒蔵は林龍平酒造1軒しかない。地域の、ひいては日本の伝統技術を守らなければという使命感も大きくなっていった。今では日本酒を世界に広めるための活動にも力を入れ、北九州から海外への輸出やプロモーションに日々奔走している。

 そんな忙しい日々を送っているが、実は6月に双子を出産したばかりのママでもある。現在は母親と姉家族と一緒に生活していて、一族みんなで子育てを楽しんでいるという。

「北九州での子育ては本当に楽しい! 環境も良いし、ベビーカーを押して歩いていると本当によく話しかけられます。アメリカも気軽に挨拶し合う文化ですが、北九州はそれ以上かも。都会での子育てだと、ここまで楽しむ余裕はなかったかもしれませんね」

 夫とはなんと出会って3カ月で結婚。翌年に妊娠して今回の出産となった。40代での結婚・出産だったため、周囲の同世代からは「40代のホープ」と呼ばれているという。

「年齢を重ねるとのんびりしてられないですから。良いと思えばすぐ行動ですよ」

 夫婦ともに40代ということで結婚を決めてすぐに不妊治療もおこなったが、北九州は不妊治療で有名な医院があるなど、

「子育てしやすいまちでもあり、子どもを望む人にとっても恵まれたまちなんだなと身をもって実感しました」

 目まぐるしく変化している林田さんの人生だが、家族や地域のために何かしたいという思いは、時間とともに次第にもっと大きなものになっている。

「父親は小倉祇園太鼓の保存振興会を立ち上げた人で、母親も商工会議所の役員をしたりと、長年地域の取り組みに積極的に参加してきました。まちのために働く血筋なのかもしれません」

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