「酒蔵で製造過程を見たり、水源に行ったりしたことで、ただ飲むだけじゃない日本酒のたのしみが体験できました。私は口の中がきれいになるようなお酒が好きなんです。八海山にはそんな味わいがあります」

 今回、ヒラさんはイスラエル料理に「八海山 あわ」を合わせた。シャンパンと同じく瓶内二次発酵でつくられたスパークリング日本酒で、フルーティーな香りとほんのりした甘みがある。少量のザクロソースを加え、より風味をマッチさせている。

 ノフさんが注目したのは「甘酒」と「麹」だ。

「イスラム教ではお酒が禁止だし、最初は『日本酒? 苦手だわ』と思っていた。でも今回、本当においしい日本酒に出合って認識が変わりました。ノンアルコールの甘酒は料理に使うことができる。塩麹で一晩漬けた鶏肉のおいしさにも驚いた。イスラエルに帰っても料理に生かすつもりです」

 国も宗教も超える食のコラボレーション。前出の谷シェフは今後、「HOUSE」で今回のコラボをベースにした料理を提供するそうだ(ライター・中村千晶)

AERA 2018年11月26日号