イラスト:石山好宏
イラスト:石山好宏

 経団連が9月に「就活ルールの廃止」を打ち出したことにより、学生、企業はともに、これまでとは違う就活に取り組む必要がでてきた。ソフトバンクやNTTデータといった大手では、すでに独自の採用方法を取り入れている。

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就活をめぐって激しい変化が起きる中、独自の取り組みで先を行く企業もある。

 通年採用を実施し、2016年採用から「ユニバーサル採用」を掲げたのはソフトバンク。新卒・既卒問わず入社時30歳未満の人を対象に、通年で門戸を開く。

「地方創生インターン」という、一見ソフトバンクの事業と関連のないようにも見えるインターンシップにも取り組む。30人の学生が参加し、1チーム5人の学生を社員2人がフォロー。地方に出向き、実践的な課題解決を考える力をつけてもらう。実際に自治体への提案も行う。学生にとって学びが多く、またとない成長の機会になるのはもちろんだが、社員にとってもコーチングやチームマネジメントを学ぶ機会になると好評だ。

 通常のインターンシップも、2週間または1カ月のプログラム。PCや名刺など社員と同じ環境が与えられ、営業同行や、売り上げ向上のための提案、実データを用いた検証など内容も実際の仕事そのものだ。数回の面接だけではわからない社風、お互いの魅力や個性を確認できる場であり、インターン経験者の3割が入社している。

「インターン経由で入社した社員は、離職率が低く、入社後も上位層に入って活躍する率が高いという傾向が出ています」(採用・人材開発統括部の源田(げんだ)泰之統括部長)

 情報サービスのNTTデータも、採用戦略をここ数年で大きく変えた。

 人事統括部の髭(ひげ)直樹部長は、かつての採用は待ちの姿勢だったと語る。これまでは学生がエントリーして、時期が来たら400人を採用すればよかった。これを攻めの姿勢に変えようというのが現在の方針だ。

「これまでは、企業が発信したい情報だけを、すべての学生に同じタイミングで、同じ内容で発信していました。本当は“学生”とひとくくりに言っても、就活熱はバラバラだし、業界に興味を持つ理由やタイミングもさまざまです」

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