東京医科大に慰謝料と入試成績の開示などを求めて会見した弁護団。会見には顔と実名をさらして現役医大生も参加した (c)朝日新聞社
東京医科大に慰謝料と入試成績の開示などを求めて会見した弁護団。会見には顔と実名をさらして現役医大生も参加した (c)朝日新聞社
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 東京医科大学、昭和大学医学部で行われていた不正入試。その背景には、一般常識とはかけ離れた「医学部ムラ」の論理がある。

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 本学では「女性」と「浪人生」は減点の対象とします───。

 あらかじめ大学受験の募集要項にそう書いてあったならいざしらず、何も知らされないままに試験を受け不合格。本人の努力ではどうすることもできない入試差別が堂々と行われていると後に分かったら、当事者はどんな気持ちになるだろうか。

 一連の不正入試が明るみに出るきっかけとなったのは、今年7月、文部科学省のキャリア官僚が逮捕された汚職事件だった。東京地検特捜部は、自分の息子を東京医科大の入学試験で不正に合格させることの見返りに、文科省が行っている私立大学支援事業の対象校に同校を選定させたとして、文科省科学技術・学術政策局の佐野太前局長を受託収賄の疑いで逮捕。その後、特捜部は入試の加点を指示し、不正な点数操作に関与した疑いのある臼井正彦・同大前理事長、鈴木衛・同大前学長らを贈賄罪で在宅起訴とした。

 この「裏口入学」事件の捜査の最中で浮かび上がったのが、同大学の一般入試における女子受験生の点数操作の実態だった。同大学は女子と3~4浪以上の受験生を不利に扱う得点操作を行うことで合格者を調整していた。

 10月23日。第三者委員会が同大学の役職員(退職者を含む)及び外部関係者25人に実施したヒアリング調査の結果を、中間報告書として発表した。報告書によると、去年と今年の入学試験(一般入試・センター試験利用の入試)では、合計69人の男女が本来合格だったのに不合格となり、そのうち55人が女性だった。

 特筆すべきは大学理事長、学長が一連の不正入試に直接、関わっていたことが明記されたことだ。推薦入試の合否判定を決定する入試委員会の場において、議論を主導する立場にあった鈴木前学長が冒頭に「去年は女性が多かったから、今年は男性を多く取りたい」と発言したことや、不合格になる方向で議論が進んでいた特定の受験生について、鈴木氏が「関係者なので」と発言し、合格になった事例があるという。

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