前出の阿部さんは、地方から都会に戻ったからといって必ずしも失敗ではない、と断言する。

「移住先を終(つい)の住処(すみか)と決めつけず、引っ越し感覚でとらえてもよいのでは。自らのライフステージで、ある時期地方に住むことにメリットがあると判断し、移住を選択する。都会にメリットが多ければ戻る。それでいいと思うんです」

 都会と地方を行き来する人が増えることで、日本はもっと豊かになると阿部さんは考える。

 移住を選択しない人は、どうしても「お手並み拝見」という姿勢で眺めがちだ。そうではなく、うまくいかなかったら帰っておいで、と温かい気持ちで送り出すことが必要かもしれない。(編集部・高橋有紀)

※AERA 2018年10月8日号より抜粋