「働き方改革」で管理職が悲鳴 広がる部下との労働時間格差 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「働き方改革」で管理職が悲鳴 広がる部下との労働時間格差

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大竹哲也AERA#働き方

illustration:佐藤ワカナ

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管理職の労働時間は長そうだ[一週間で比べてみると](AERA 2018年9月17日号より)

管理職の労働時間は長そうだ[一週間で比べてみると](AERA 2018年9月17日号より)

「働き方改革」で管理職が割を食うケースが目立つ。部下が定時に帰るので、残った仕事を肩代わり。かえって労働時間が長くなったという。

*  *  *
 土曜日に出社すると、いつもの顔ぶれがそろっていた。部長、次長、課長……見渡す限り管理職ばかり。大手保険会社に勤める40代後半の部長は、隣の部の部長に声をかけた。

【一週間でこんな差が!管理職と従業者の労働時間はこちら】

「今週はどうしたの?」

 その部長はパソコンに顔を向けたまま、黙って天井とスマートフォンを指さした。役員からLINEで仕事の指示が来たのだ。自分も同じ。朝の散歩の途中でメッセージが届いた。役員からのメッセージだけは着信音を変え、未読スルーを防ぐ。

「休め」と言うくせに…

<週明けの役員会議で例の案件が議題に。うちは、どんなスタンス?>

 自分の担当部の方針も把握していないのか。「休みはしっかり取れ」と言っているくせに、役員会議の前になると慌てる。

 LINEは難しい。返信を即刻ほしいのか、後日でいいのか、文字だけでは判断できない。だが、急ぐに限る。手元に資料がないので、散歩を切り上げて出社した。月4、5日は、こうして休日出勤するはめになる。

 実は、この事態を予測していた。前日、部下に役員会議の想定問答をつくるように命じていたのだ。だが、定時退社の午後6時が迫っても完成しない。昔なら「できあがるまで帰るな」と命じたが、いまはめったなことでは残業させられない。会社が進める「働き方改革」のせいだ。労働時間を短く、ワークライフバランスを整えて──部全体で残業時間の枠が決められ、超えると自分の人事評価に響く。部下に時間をかけて試行錯誤させることは育成に役立つが、途中で取り上げるしかなかった。

 残業して仕上げたい。でも別の部で「部長が残っていると帰りにくい」との苦情があったと聞き、平日は定時退社していた。

 部下にとっては、上司よりも遅く帰る「つきあい残業」や、記録に残さない「隠れ残業」などはなくなった。その半面、部長にとって増えたのは、部下の仕事の肩代わりだけではなかった。皮肉なことに社長から「どうすれば仕事が減るか、部長たちで考えてくれ」と、指示が飛んだ。休日出勤は必然と思えた。


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