親の恋路を邪魔したいわけではないけれど、割り切れない思いを抱く子世代は少なくない(撮影/写真部・小山幸佑)
親の恋路を邪魔したいわけではないけれど、割り切れない思いを抱く子世代は少なくない(撮影/写真部・小山幸佑)
子どもがいる中高年カップル、幸せの五カ条(AERA 2018年7月30日号より)
子どもがいる中高年カップル、幸せの五カ条(AERA 2018年7月30日号より)

 今、結婚歴があり成人済みの子どもがいるシニア世代が新しいパートナーを得るケースが増えている。一見、「いい話」のようだが、実際はそう単純にはいかないのが実情のようだ。

【子どもがいる中高年カップル、幸せの五カ条はこちら】

「一緒になりたい女性がいる、と2人の娘に伝えたところ、驚いた表情で押し黙るだけで何も言ってはくれませんでした」

 と話すのは横浜市に住む男性(74)。2年前、中高年向けの結婚相談所で知り合った3歳年下の女性と結婚を決めたとき、長女(40)と次女(39)に報告した。

「娘たちには離婚した実母への思いがあるので、手放しで祝福できないことは理解しています。心の整理がついたら4人で食事会でもしないかと誘っていますが、まだ会うつもりはないようです。『将来、お父さんの葬式は出すけれど、新しい奥さんの葬式は出さないからね』と言われているので、妻より先には死ねないと思っていますよ」

 結婚歴があり成人した子どもがいる人が、新しいパートナーを得るケースは増えているという。中高年向けの結婚情報サービスを提供する「茜会」の川上喜彦代表はこう指摘する。

「『婚活』という言葉が一般化したことで、中高年世代にもパートナー探しに抵抗を感じる人が少なくなっています。弊社のお客様は30代以上が対象ですが、会員の過半数は60代以上。そのうち7割に結婚歴があり、そのほとんどにお子さんがいます」

 男女問題に詳しい行政書士の露木幸彦さんは、シニア世代の恋愛や結婚には家族間の問題が起こりやすいと話す。

「若い世代なら互いの両親に認めてもらえばOKですが、シニア世代は互いに子どもや元の配偶者、さらには実の両親や元の義両親、孫まで関わってくることもあり、関係する人が多いだけに問題は複雑になりがち」

 子どもにとっては、離婚あるいはこの世を去った実親への思い入れもあり、親の再婚は心情的に受け入れがたい場合もある。また、当事者であるカップルはもちろん、その親や義両親に介護が必要になった場合にどうするかといった問題や、死後はどこの墓に入るのかといった問題も生じてくる。

次のページ