池松:いい俳優ってその人を見ているだけで感情が動く。満島さんが笑っていれば自然に笑いが出てくるし、泣けば悲しくなる。怒っていればこちらも怒りが湧いてくる。僕はそういう俳優が本物なんじゃないかと思います。同じ年齢の人と共演することはなかなかなかった。だからたくさん見ているわけではないですけど、同世代で出会った中で「この人は才能があるな」と、ここまで思った俳優さんは満島さんのほかにいなかったですね。

満島:これでまたうれしくなるわけです(笑)。

池松:でも、僕自身いい俳優さんと共演するとすごく救われます。こちらの感情が無のままでも勝手に動かしてくれるんです。そういう人が常に隣でいてくれて、映画を作っている。しかも同じくらいの年で。そんな人がいるとは思っていなかったので本当に心強かったですね。

満島:僕はこの映画に出て、僕たち2人がそろえばなんでもできると思えた。それは自分が持っていないことを面白がれることだったり、違いを認め合うことで生まれる信頼、タイプは違っても根底の思いは同じだと確認できたこと。僕が取材で適当なことを言えるのも池松くんがいるから(笑)。だって、「最後はまとめてくれるでしょ」って任せられる。信頼関係を築くのに時間は関係ない。出会った瞬間に「見つけた!」ということもあるんです。

池松:満島さんは俳優という枠に収まれない人。その収まってない感じがすごく好き。今日も関係のないことをずっとしゃべっているでしょう。記者さんははっきり止めたほうがいいですよ。ほら、もう時間になっちゃったもん(笑)。

(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2018年7月9日号