■新宿「ぶつかり男」、その目的は

 行動分析に基づく心理研究を専門とする、デジタルハリウッド大学の匠英一教授は、新宿「ぶつかり男」の動画を見て、わいせつ目的の可能性もあると指摘した。

「特に動画の前半では、ぶつかる瞬間に肩に力を入れ、女性の胸のあたりをめがけてぶつけていっているように見えます。ぶつかることが目的というよりも、上腕で胸を触ろうとしているように感じます」

 動画のようにぶつかられた場合、たとえわいせつ目的だったとしても、被害者はそう気づきにくい。

「被害者が最初に抱く感情は痛みや怯えでしょう。万一トラブルになったり、駅員を呼ばれるような事態に発展しても、痴漢にあったと訴えられる心配はなさそうです。一般的な痴漢行為と違って、故意であることの証明も非常に難しい。また、男性と一緒にいる女性は避けている様子を見ても、トラブルになったときのことを正常に考えられる、いわば“普通の人”であると思います」

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「ぶつかり」行為、実は特別ではない?