新宿駅で多数目撃された「ぶつかり男」だが…(※イメージ写真)
新宿駅で多数目撃された「ぶつかり男」だが…(※イメージ写真)

 5月25日、ツイッター上に投稿された1本の動画。そこには、JR新宿駅構内で、女性だけを狙って次々にぶつかっていく男が映し出されていた。投稿元の動画は既に削除されているが、映像は瞬く間に拡散され、テレビの情報番組でも何度も放映された。

 JR新宿駅は、1日平均でおよそ77万人もの人が乗り降りする巨大ターミナル。特にラッシュ時間帯ともなれば、通路は行きかう人で埋め尽くされる。実際に駅構内を歩いてみると、はっきりとした人の流れができあがり、通路の反対側にあるエスカレーターへたどり着くのも一苦労だ。

 新宿駅構内の売店で働く女性はこう話す。

「あれだけの人がいるなかで、スマートフォンを操作しながら歩く人や、早歩きで強引に抜かしていく人などもいる。人がぶつかっている様子は毎日のように目にする」

 それでも、あの動画は異様だった。

 わずか40秒余りの間に、確認できるだけで4人の女性と「ぶつかって」いる。肩で強くぶつかられた女性が痛そうにのけぞる姿も確認できた。

 新宿駅を管轄するJR東日本東京支社によると、動画の拡散を受けて警備員に巡回の強化を指示し、警察にも被害を相談した。これまでのところ、警備員からは新たなぶつかり行為などについての報告はないというが、広報の担当者は、「危険な行為。絶対にやめてほしい」と話す。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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新宿「ぶつかり男」の目的は?