安倍政権中枢にいる主な経産省出身者(AERA 2018年5月21日号より)
安倍政権中枢にいる主な経産省出身者(AERA 2018年5月21日号より)
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 柳瀬唯夫氏の答弁に、野党のみならず自民党サイドからも苦言が出た。そうした批判を浴びてまで、柳瀬氏は何を守りたかったのか。柳瀬氏と、「官邸の最高レベル」の発言疑惑がある内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)には共通点がある。経産省からの出向者だったことだ。

 経産官僚が官邸に深く入り込んだのは、12年の第2次安倍政権の発足からだ。政務担当首相秘書官に今井尚哉元資源エネルギー庁次長、首相補佐官兼内閣広報官に長谷川榮一元中小企業庁長官が就いた。資源エネルギー庁も中小企業庁も経産省の外局だ。財務省の元幹部官僚は、

「総理秘書官には2種類ある。政務秘書官はもともと総理の下で働いてきた公設秘書などが務めるのが一般的で、官僚の今井氏が政務秘書官に就くのは異例中の異例。それまで財務省が総理の一番近くで永田町の情報を集めてきたが、14年の内閣人事局の創設で人事権まで掌握され、『経産省支配』に変わった」

 官邸周辺を見渡しても経産省出身者が目立つ。原英史政策工房代表が国家戦略特区ワーキンググループの座長代理で、委員の一人、岸博幸慶應義塾大学大学院教授もそうだ。

「安倍総理は幹事長など党要職を歴任してきたが、主要閣僚の経験がないまま総理大臣になり、官僚のネットワークがない。第1次安倍政権のときは官僚を警戒し、政治家と一緒に官僚の説明を聞くようにしていた。しかし、辞任後に人が離れていくなか、ドン底にいた安倍氏を登山に誘うなど支え続けたのが経産省の今井氏や長谷川氏だった。彼らへの信頼は厚く、財務官僚が冷遇される一方、経産省出身者が集まっている」(同)

 高度成長を支えた通産官僚を描いた小説『官僚たちの夏』の発売が1975年。79年には米国の社会学者エズラ・ヴォーゲル氏の著作『ジャパン・アズ・ナンバーワン』がベストセラーになった。元日経連会長の故・桜田武氏が「日本は政治は三流だが、官僚と民間が一流」と発言したのもこの年だ。通産省は「1が大蔵、2が通産、3、4がなくて5が自治省」と言われるエリート官庁ぶりで、「通産省は別名、通常残業省と呼ばれ、優等生タイプの多い大蔵省と違い、アグレッシブなタイプが集まった」(通産省OB)という。

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