騙されるのはどんな人? 歴史学者に聞いた「フェイクニュース」防衛術 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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騙されるのはどんな人? 歴史学者に聞いた「フェイクニュース」防衛術

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市岡ひかりAERA

ござ・ゆういち/歴史学者、国際日本文化研究センター助教。1980年生まれ。著書に『応仁の乱』(中公新書)など。近著に『陰謀の日本中世史』(角川新書)(撮影/岸本絢)

ござ・ゆういち/歴史学者、国際日本文化研究センター助教。1980年生まれ。著書に『応仁の乱』(中公新書)など。近著に『陰謀の日本中世史』(角川新書)(撮影/岸本絢)

 陰謀論を否定するためには、一番確率が高そうな説を提示するのがいいんですが、地味でありきたりなので面白くない(笑)。でも、陰謀論には意表を突く、サプライズがあるから魅力的に映るのでしょう。フィクションとして楽しむ分にはいいですが、真実とは切り離して考えるべきです。

 デマに騙(だま)されないためには、過去の事例に学ぶといいと思います。パッと見は奇抜で斬新な説でも、実は論理展開はパターン化されています。

 例えば、ヘイトスピーチ規制の時に、「むしろ日本人が逆に差別されている」といった言説が出回りました。パッと聞くと「あ、そういう発想の転換ができるんだ」と虚を突かれるかもしれません。でも、実はナチスも同様のことを言っていたんです。アーリア人がユダヤ人から搾取されていたんだ、と。陰謀論では、こうした加害者と被害者を逆転させるというパターンは非常によく使われます。斬新な発想のようでも、実は手垢のついたレトリックだったりする。フェイクニュースのようなものを聞いた時に、「過去にも同じような事例がなかったか」と、立ち止まって考えるのは大事だと思います。

 また、自分の主義主張にとって、都合のいい説が出てきたときに疑えるかどうかも重要です。歴史研究者と陰謀論者の一番の違いもそこにあります。私自身も意識していますが、自説を唱えるときに都合のいい資料が出てきたら「本当に大丈夫なのか」と検証する姿勢が大事です。陰謀論者は都合のいい情報に飛びつき「間違いない」と思い込み、都合の悪い情報は「フェイクニュースじゃないか」と耳をふさいでしまう。

 研究者にとっては当然のことですが、フェイクニュースやデマがあふれる中、必要な知的態度だと思います。

(構成/編集部・市岡ひかり)

AERA 2018年4月16日号


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