その象徴が陸上総隊の発足だ。桜が散り急ぐ4月4日、埼玉県の朝霞駐屯地での式典に司令部や直轄部隊に属する総勢約8550人の一部が参加。濃緑から紫紺に変わった陸自の新制服姿で整列した。

 陸上総隊を作る理由として、陸自は「統合運用」を強調する。大規模災害や南西諸島防衛といった分野で、海自や空自、米軍との連携を深める狙いだ。陸自内部では、北部、東北、東部、中部、西部の全国5方面隊の上に陸上総隊を置く。各方面隊の管轄をまたいで素早く部隊を動かせるというわけだ。

 だが、陸上総隊の新設には各方面隊に「屋上屋」との異論があった。「かえって部隊の展開が遅れる」という指摘だが、文書管理でもややこしくなる。

 また、陸上総隊は、その前身であるCRFからPKOなどの任務を引き継ぎ、さらに「日本版海兵隊」と呼ばれる水陸機動団を傘下に入れる。侵攻された離島を奪い返すため、それまで自衛隊になかった水陸両用作戦能力を備える新部隊だ。

 つまり、陸自で南スーダン日報問題の発端となったCRFの後継組織がこの春、「屋上屋」への懸念と、注目の新部隊を抱えて登場する。「創隊以来の大改革」で、情報公開への対応は一層混乱しないだろうか。(朝日新聞専門記者・藤田直央)

AERA AERA 2018年4月16日号より抜粋