ゲイリー・オールドマンを“チャーチル”に近づける難しさ アカデミー賞辻一弘さんが明かす (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ゲイリー・オールドマンを“チャーチル”に近づける難しさ アカデミー賞辻一弘さんが明かす

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坂口さゆりAERA

つじ・かずひろ/1969年5月、京都市生まれ。高校時代からディック・スミスに学ぶ。27歳で単身渡米。2007年に独立(撮影/写真部・東川哲也)

つじ・かずひろ/1969年5月、京都市生まれ。高校時代からディック・スミスに学ぶ。27歳で単身渡米。2007年に独立(撮影/写真部・東川哲也)

映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は実話を基に、チャーチルが英首相になってからダンケルクの戦いまでの27日間を描く。3月30日から全国で公開 (c)2017 Focus Features LLC.All Rights Reserved.

映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は実話を基に、チャーチルが英首相になってからダンケルクの戦いまでの27日間を描く。3月30日から全国で公開 (c)2017 Focus Features LLC.All Rights Reserved.

 第90回アカデミー賞主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンが、チャーチルを演じる「絶対条件」としたのが、辻一弘さんの起用だった。

【ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」の写真はこちら】

*  *  *
実在の人物から悪役まで、徹底した役作りで知られる俳優のゲイリー・オールドマン。彼がウィンストン・チャーチルを演じると聞いた時は、正直、ピンと来なかった。体形はもちろん、顔の輪郭一つをとっても、丸顔のチャーチルと細面のオールドマンでは全く違ったからだ。

 だが、映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を見て驚いた。たるんとした頬の肉、シャツのカラーに食い込んだ首、人生を刻んだしわ、薄いながらも整えられた髪、そしておなかの出具合まで、そこにはまぎれもなく、チャーチルがいた。

「まったく別の人間」を作り出すことに大きく貢献したのが、この作品でアカデミー賞メーキャップ部門を受賞した辻一弘(48)だ。

 特殊メイクの第一人者としてハリウッドで活躍していた彼が、その仕事に疑問を抱くようになって映画界を去ったのが2012年。今回のタッグは、「この役を演じるにあたっては、辻一弘の参加が絶対条件」と考えたオールドマンが、彫像アーティストとして活動していた辻に直接メールを送ったことで実現した。

──なぜ、この仕事を引き受けたんですか。

 いままでにない仕事だったからです。僕の特殊メイクの原点は、高校生の時に自分に施したリンカーン大統領のメイク。その写真を後に師匠となるディック・スミスに送ったことが、この世界に入るきっかけになりました。もともと人間に興味があって特殊メイクをやりたかったんですが、これまではそういう機会がなかなかなかった。モンスターやSFの特殊メイクには、興味がありませんでした。

──オールドマンと組めることも大きかったとか。

 ゲイリーはメイクの大切さがわかっている俳優。出演作を見ればわかりますが、彼はキャラクターを作るのに自分を変えることを恐れない。多くの俳優たちは、いくら特殊メイクをしても自分を消せませんが、ゲイリーの場合は役になりきることができるんです。


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