「英語の早期教育」は必要?不要?(※写真はイメージ)
「英語の早期教育」は必要?不要?(※写真はイメージ)

 日本人の寿命に関して、驚くべきデータがある。2007年に日本で生まれた子どもは、50%の確率で107歳まで生きるというのだ。人生100年時代を生きるために、子どもたちはどんな能力を身につければいいのか。幼少期に必要な学びについて取材した。

 厚生労働省の「人口動態統計」では、2017年に国内で生まれた日本人の赤ちゃんは94万1千人。英ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏らが著した『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)によると「10年ごとに平均2、3年のペースで平均寿命が上昇している」というから、07年生まれの子の5割が107歳まで生きるとすると、17年に生まれた子の半分は、計算上、110歳まで生きることになる。この子たちには、どんな「110年」が待っているのか。

 政府の「人生100年時代構想会議」では3歳から5歳までの幼稚園、保育所などを無償化し、20年までに32万人の保育の受け皿を作って待機児童を解消する方針が示されている。「この流れは進むだろう」と第一生命経済研究所上席主任研究員の的場康子さんは語る。

「地域によっては待機児童は今がピークで、過酷な『保活』は減っていくでしょう。ただ、祖父母が働く社会になれば、孫の面倒はみられなくなる。(長寿化しているであろう)曽祖父母にみてもらうか、公的サービスに頼らざるを得なくなることも考えられる。無償化が進めば出費は少なくなるので、親はその後の教育資金をこの時期にためる必要があります」

 子が身につけておくべきことは何か。評価、教育事業を手がける「IGS」の代表取締役で「2050未来教育研究所」の名誉所長も務める福原正大さんは、「遊びから学ぶ力」だと言う。

「知識やコンテンツはすぐに陳腐化します。答えが決まっているものはAIに代替されてしまう。それよりも『遊び』を通して、知識や技術を得るためのプロセス、学ぶ方法を訓練することが重要です。『遊び』は音、リズム、美的感覚などの身体性を伴い、非認知的能力を高められるので、AIには代替できない能力が養われます」

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