「この世界の片隅に」原作者に聞く“漫符4コマ”を新作にした理由 (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「この世界の片隅に」原作者に聞く“漫符4コマ”を新作にした理由

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矢内裕子AERA
漫画家 こうの史代さん(49)/1968年広島市生まれ。95年『街角花だより』でデビュー。2004年発表の『夕凪の街 桜の国』は07年に映画化。他に『日の鳥』など著書多数(撮影/片山菜緒子)

漫画家 こうの史代さん(49)/1968年広島市生まれ。95年『街角花だより』でデビュー。2004年発表の『夕凪の街 桜の国』は07年に映画化。他に『日の鳥』など著書多数(撮影/片山菜緒子)

『ギガタウン』に登場する動物たちは、ペンでなく毛筆で描かれている。本家「鳥獣人物戯画」を思わせる、柔らかで自在な描線が魅力だ(撮影/片山菜緒子)

『ギガタウン』に登場する動物たちは、ペンでなく毛筆で描かれている。本家「鳥獣人物戯画」を思わせる、柔らかで自在な描線が魅力だ(撮影/片山菜緒子)

 4コマ漫画だけを読んでも楽しめるが、あくまで漫符が主役なのだ。

 百聞は一見に如かず──ここで紹介した3作品のように、4コマの右側には、絵文字でおなじみの「水滴」や「怒り」などのマークと、その説明が書いてある。

「漫符は漫画を描く側からすると、使うと端的に状況が伝わるので、便利なものです。だから漫画を描き始めたころから、使い方は意識していましたね。

 たとえば涙を一粒描くなら悲しみの表現だけれど、泣いている場面にたくさん描くと、かえってコミカルになる、とか。そうした漫符は、実際の様子を表している象形文字的なものだけれど、同時に誇張表現でもあると気づきました」

 他にも怒っている様子を表す「湯気」の漫符は、描き方によってはため息にもなり、勢いよく蒸気が出ている状態にもなる。複数の意味がある漫符は、それぞれの表現に合うように漫画のなかで使い分けられている。

「これまでも漫画研究者が漫符を解説したものはあります。けれど漫画家は書いてこなかった。研究者が取り上げるときは、いろいろな漫画家の表現を集めるから絵もバラバラです。物語の流れに沿って、一貫性のある絵で漫符が出てくる様子を説明することが必要だと思いました」

 横で解説された漫符について知ってから4コマを読むと、作品に込められた二重三重の意味が見えてきて、漫符の奥深さがよくわかる。

「連載中に自分の好きな漫符とあまり使わない漫符があるのに気づきました。私が使わないのはカラスやトンボかな。目が白くなるのも、使いませんねえ。新しい発見として、先日『映画キラキラ☆プリキュアアラモード』を観ていたら、お菓子を作っている場面で、無心に作業をしているときに目が白くなっていた。これは白目の新しい表現だな、と思いました(笑)」

(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年2月19日号より抜粋


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