B:昨年放送されたある情報番組で、結果を出すコンサルの達人が紹介されていたのをご覧になりました? そこに1人の野菜ソムリエが“スター農家育成プロジェクト”の一環で中国地方の桃農家に派遣されるんです。農家の方はその土地ならではの白桃を全国に広めたいと希望するのですが、その野菜ソムリエは「あなたの希望は関係ない」「お客にどんなものを提供したら喜ばれるかを考えなさい」とアドバイスするんですよね。消費者目線のもっともらしい意見に見えますが、これは地方創生に携わるうえでは絶対に言ってはいけないこと。なぜなら、根本的な解決にならないから。野菜ソムリエが消費者の代表として振る舞いながらアドバイスをする限り、農家さんはこの野菜ソムリエに頼らざるをえません。地方創生交付金がカットされて、野菜ソムリエに依頼できなくなったら元の木阿弥です。専門家がいなくなっても、美味しい桃をつくって売り上げを伸ばしていけるように下地をつくってあげるのがコンサルタントの本来の役目でしょう。そのためには、依頼主が「やりたい」ことを伸ばすほうがいい。実際、私は関西を中心にアパレルメーカーや陶器メーカーなど、本当に小さい企業のブランディングもやらせてもらっていますが、依頼主が「やりたい」「つくりたい」と思った商品・サービスは必ず結果が出ています。自分の商品・サービスに情熱があるから、不慣れなPRもみんなで全国を飛び回って行う。1年で6~8倍に売り上げが伸びるケースも少なくありません。

(構成/ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2018年2月19日号より抜粋