納豆菌、恐るべし(※写真はイメージ)
納豆菌、恐るべし(※写真はイメージ)

「9月から6月の仕込みの時期は、納豆は一切口にしません。不醸造のもとになりますから」

 とある酒蔵の杜氏は言う。繊細な麹を扱う酒造りにおいて、「納豆菌」はタブーというのはよく聞く話だ。酒蔵見学では「朝は納豆を食べてこないように」と見学者に依頼しているところも多いとか。

 茨城県工業技術センター食品バイオ部門で清酒を担当する吉浦貴紀さんも言う。

「製造工程で、納豆菌が混入すると清酒造りがうまくいかないことは確かです。実生活で納豆を食べたことがどこまで影響するか、科学的に検証されているわけではないので、都市伝説の域を出ませんが、納豆を避ける酒蔵関係の方は多いようです」

 逆を言えば、それほどまでに恐れられているのが、納豆菌の生命力というわけだ。

「熱湯に入れても死なない。乾燥させても冷凍しても死なない」

 その強さについて、研究者たちは口をそろえる。おかめ納豆でおなじみのタカノフーズ(同県小美玉市)の納豆研究部門のリーダー、田谷有紀さん(52)が説明する。

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