同社では、これまでなかった、後方から乗り込むタイプの車椅子型ロボット「ロデム」を開発。ロデムは11月から屋内向けの販売受け付けを開始し、18年には屋外向けを発売する予定だ。このロデムを使って、街中での移動サービスの空白地帯ともいえる、ラストワンマイルを埋めようとしている。

 ロデムは通常の車椅子と異なり後方から乗り込むため、足腰が悪くても、介助者がいなくても一人で椅子やベッドから移乗できる。同社代表取締役CEOの高本陽一さんの「後ろから乗ったほうが乗りやすいのでは?」というアイデアから実現した。

 記者も乗ってみた。椅子に座った状態から、前傾姿勢になり、目の前にあるロデムの座席に乗り移った。コントローラーで座席の高さを調整すると、乗り込むときは椅子と同じ高さだったのが、歩行者と同じ目線の位置になった。この状態で走ってみた。

 手元のジョイスティックを操作するだけで、直感的にスピードや進行方向をコントロールできる。まっすぐに走行したり、方向転換したり、その場で360度の回転も初めてでも簡単にできた。一見大きく見えるが、全長は通常の車椅子よりも小さく、小回りがきく。

 ロデムに乗っていると、自在に動き回れる上に、目線が高いためか、乗っているだけで楽しくなる。記者は歩行に困難はないが、家から駅までなど、普段でも使ってみたくなった。

「街中でちょっとした移動に使えるといいですよね。シェアリングサービスとしてできないかと、考えています」

 と高本さん。現状は公道では法律で定められている時速6キロまでしか出せないが、時速15キロまで出せる性能がある。スマホを使っての遠隔操作や、自動走行も可能だ。

18年にはイギリスで、自動走行をする実証実験を予定している。例えば、目的地まで人を乗せて移動したあとに、充電ステーションまで自動走行で戻るといった将来の用途を考えているという。(編集部・長倉克枝)

AERA 2018年1月1-8日合併号より抜粋