ジャーナリストとして、これからも性暴力に向き合っていくと話す。いまイギリスの放送局と一緒に、日本における性犯罪のドキュメンタリーを作っている(撮影/写真部・東川哲也)
ジャーナリストとして、これからも性暴力に向き合っていくと話す。いまイギリスの放送局と一緒に、日本における性犯罪のドキュメンタリーを作っている(撮影/写真部・東川哲也)
この記事の写真をすべて見る

 元TBS記者・山口敬之氏からの性暴力被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さん。10月18日に手記『Black Box』(文藝春秋)の中ではじめて本名を公表した。その直後に、山口氏が月刊誌で反論を表明。伊藤さんの心境とは?

*  *  *

──いま世界中で「#MeToo(私も傷ついた)」という言葉とともに、性犯罪被害者が声を上げ始める動きが生まれています。しかし一方で、伊藤さんの事件では、特に女性からのシンパシーがあまりなく、バッシングなどを受けることも少なくないと聞きました。

 もちろん、応援のメッセージや、「私も同じレイプ被害者でした」という方から励まされることは多くあります。顔を出して会見して話したことはよかったと思っています。しかし、確かに女性からのバッシングやネガティブコメントを受けることもあります。実際、10月24日に日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見を開いたのですが、その直後に知らない女性から「同じ女性として恥ずかしい」「これ以上、性暴力の被害者面をするのはやめてください」などと書かれたメールを受け取りました。その時はすごいショックでした。けれど、日本の女性は長く一歩引いて男性を立てるよう教育されてきました。決して女性にシンパシーがないのではなく、私の取った行動と置かれた状況がまだわかり合えていないんだと信じています。今後はそうした女性たちとどうわかり合えるか考えていきたいです。

──10月末に発売された月刊誌で、山口氏が手記を出し、伊藤さんから「性的暴行を受けた」と告発された問題について「あなたは性犯罪被害者ではありません」などと反論しています。

 山口氏が言う事実がどういうものか、私も読みました。山口氏が「隠している」と指摘していることは、すべて私の手記に書かれていますし、読み比べていただければわかること。ただ、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と手紙風になっていたことにはびっくりしました。

次のページ