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──デンマークの王子・ハムレット(林遣都)の様子がおかしいと、国王クローディアス(小野武彦)に呼び出され、真偽を確かめるよう命じられたロズとギルは旅に出ることに。ギルを演じる菅田さんとの掛け合いが面白みの肝になるでしょうか。

 ロズは「愛すべきバカ」なんですよ。「このまま話が進んでいくと死んでしまう」という、危機感や焦りをビビッドに感じられない人。興味や関心があちこちに飛んでしまったりする。お客さんもギルと一緒に「おいおい!」とツッコんでもらえるようなキャラクターにしていきたいですね。

 菅田くんは、いつも表現で遊んでいる感じがとてもいい。ラジオのレギュラーパーソナリティーに挑戦したり、ソロ歌手デビューしたりといろいろな表現活動をしていて、魅力を感じます。稽古でも2人でアイデアを出し合ったり、いろいろなパターンを試したりしながら一緒に遊んでみたいですね。

 僕は普段エキセントリックだったり濃いキャラクターだったりする役柄が多いので、僕自身もボケ側のロズ役を演じるのが新鮮です。菅田くんには「生田くんのテンポってなんか関西人みたいですよね」って言ってもらえたから、とりあえずは胸張れるかな(笑)。

──ドラマや映画、そして舞台作品にも積極的に出演を続けている生田さん。役者に専念するその仕事ぶりは、歌手活動が柱のジャニーズ事務所の中では特異な存在として評されることも。

 僕、舞台が好きなんですよね、すごく。俳優、役者と名乗るからには、生の舞台で勝負できる表現者でありたいという気持ちが強いのかもしれません。舞台に立っている間は、頭のてっぺんからつま先まで、すべてを観客に見られている感覚。芝居だけではなくて、生きてきた時間とか、育ってきた環境とかすべてが立ち姿に出てしまうと思うんです。だからこそ、いつでも板(舞台)の上に立てる人間でありたいというか。いい大人が舞台袖で戻しそうになるほど緊張するなんて、普通に生きていたらあまりない事態ですよね(笑)。そんな本番前の怖さもひっくるめてゾクゾクするし、やっぱり面白くてたまらないんです。

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