●才能同士をつなげたい

 ものづくりをしていて最近強く感じることは、自分はやっぱり個人戦より団体戦のほうが好きなんだなということ。「お前がボールを持っているなら俺はこっちに走っていくよ。だからここね、ここにパスを出して!」っていうチームプレーが本当はやりたい。もちろん、作品やタイミングで独走で引っ張っていかなければならない場面もありますが、特に舞台作品の現場ではチームプレーが楽しいですね。自分の性格や作り方には舞台がとても合っているのかもしれません。カンパニーで時間をかけながら稽古して、息を合わせて練り上げていく。そして最後にはお客さんに直接その目で確かめてもらうというその過程が気に入っているんだと思います。でも何より好きなのは、稽古が終わって共演者やスタッフさんと「今日このあとどうする?」って言い合ってる瞬間かも。実際に飲みに行かなくても、「どうする?」とか言ってるこの時の空気感がたまらないですね。

 20代と30代では演じる役柄も変化してきました。これからも役者として頑張るのはもちろん、プロデュース業にも興味があります。「あの人の才能とあの人の才能がぶつかったら面白いものができそう」という妄想をするのが好きなんですよ。事務所の後輩も、やりたいことがあるやつはもっとバンバン出てきてほしい。「生田さん、もうその位置どいてもらっていいっすか」と言えるくらいのやつらが出てきてくれたらいいですね。そういう才能同士をいつかつなげるようなことができたら楽しそうだなと思っています。(ライター・まつざきみわこ)

AERA 2017年10月23日号