ドラマや映画、そして舞台と俳優業に邁進する生田さん(※写真はイメージ)
ドラマや映画、そして舞台と俳優業に邁進する生田さん(※写真はイメージ)

 生田斗真が、約1年ぶりの舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」に出演する。小川絵梨子の演出、菅田将暉との共演でも話題の本作。ドラマや映画、そして舞台と俳優業に邁進する生田がいま、表現者として追い求める姿とは。

──舞台作品への出演は約1年ぶり。菅田将暉さんとの共演や、歴代最年少の30代で次期新国立劇場演劇部門の芸術監督に任命された小川絵梨子さんの演出も楽しみにされていたとか。

 今回チェーホフの「かもめ」(2013年)以来の翻訳劇に挑戦します。「ロズ・ギル」の愛称で呼ばれるこの作品は、世界中で長年上演が繰り返されているトム・ストッパードの戯曲。シェイクスピア劇「ハムレット」のラストで「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」というたった1行で片付けられた影の薄い男2人を主人公にした、いわば「ハムレット」のスピンオフ作品です。“翻訳もの”というと「難しそう」「怖そう」なんて構えてしまいがちですが、大丈夫! 僕が演じるローゼンクランツがボケまくって、菅田将暉くんのギルデンスターンがツッコミまくるので、絶対に笑えますから(笑)。あまり難しいことにとらわれず、今の僕らにしかできない「ロズ・ギル」を作っていきたいと思っています。

 実は今回一番嬉しかったのは、演出の小川絵梨子さんとご一緒できたこと。小川さんの舞台は「RED」「スポケーンの左手」「クライムズ・オブ・ザ・ハート─心の罪─」などたくさん拝見しましたが、百発百中でどれも本当に面白かった。丁寧な人間模様に加えて、役者さんたちの今まで観たことのない姿に目が離せなくなる作品ばかりでした。小川さんが演出する舞台でしか観られない役柄だったり表情だったり、佇まいだったりに毎度驚かされてきたので、どんな作り方をされるのかすごく興味があったんです。

 実際に稽古でまず驚いたのは、本読みに丸々1週間をかけたこと。1日4時間ほどみっちりと、台本の哲学的な表現の解釈について意見をぶつけ合いながらすり合わせていく細やかな作業をやっていくんです。すべての意見が出尽くすまで徹底的に。立ち稽古に入る前に登場人物たちの感情や物語の構成までが身にしみ込んでいく感覚は、今までにはない新鮮な驚きでした。

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