オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。留学したいけどお金がない。大学に通いたいけど時間がない。諦めるのはまだ早い。“お得な大学”あります。
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近年増えているのが、アジアへの留学。中国が群を抜いて多いが、台湾、マレーシア、シンガポールなども人気だ。学費が割安なうえに「英語が身に着けられる」というのがメリット。中国に次いで人気の台湾の大学は、授業はすべて英語で、学費が年間40万円程度という安さ。
だが、さらに格安の国も存在する。その一つが、フィリピン。マニラ郊外にあるパーペチュアル・ヘルプ大学(UPH)は、幼稚園から小学校、中学校、高校、大学、大学院まで擁する東南アジア最大級の総合私立大学。教養、航空、コンピューターなど18もの学部がある。初年度の学費はわずか約32万円。生活費も台湾、マレーシアなどと比べて割安だ。徐々に日本人の留学生が増えているという。同大学への留学斡旋を行うUPHグローバル・アカデミー・ジャパンの石井幸雄副代表が話す。
「日本で数多くのフィリピン人介護士が働いていることからもわかるように、ホスピタリティー人材の輩出国である点がフィリピンの魅力。1年次からの入学希望者は毎年5、6人程度ですが、ホテル系の専門学校がUPHに毎年1800人近くの短期留学生を送っています」
ホテルや旅行業界への就職を目指す国際ホスピタリティ・マネジメント&ツーリズム学部で、16年まで学んだ出張真衣さん(24)が言う。
「難しい理論を学ぶだけでなく、実技やインターンなども充実していました。20~40人の授業が大半で、先生との距離が近く、しょっちゅう英語で質問が飛んでくる。少しでも休むと単位を落とすので勉強漬けでした」
現在は、ヒルトン成田のフロントを担当する。「8割以上のお客さんが外国人。面接も英語でしたが、大学生時代に五つ星ホテルにインターンに行ったこともうまくアピールできました」(出張さん)と話す。
同学部に留学した日本人の多くは外資系企業に就職。「エミレーツ航空などのキャビンアテンダントになった学生も少なくない」(石井氏)という。一方で、コンピューター学部で学んだ学生の中には、マイクロソフトやアップルに就職した人も。
治安が気にかかるが、「フィリピン人はみんな明るく、身の危険を感じたことは一切なかった」(出張さん)。割安で英語を身に着けたい人の選択肢として、フィリピン留学はありかも。(ジャーナリスト/田茂井 治)
※AERA 2017年8月28日号