「民進党は過去の失敗に向き合い、政権交代の党として結束を図らなければなりません。内部を固めずに無党派の風を吹かせようとしたり、野党協力したりして党勢回復につなげようとしても、結局うまくいきません」


党に誇りや愛着がない

 政権奪取を控えた00年代後半の民主党は、地方組織を含む「連合」との関係強化を図る一方、社民や国民新党との連立成立に向けた政策調整を練った。だが今、民進党内には政権交代に向け地道にレールを敷こうとする機運も、政治の基本ともいえる「根回し」に長けた人材も見当たらない。

 後継選びは、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官を軸に展開する見通しだ。

 前出の中北氏は言う。

「党内の陣容を踏まえれば、枝野氏らリベラル派が代表に就いて現実路線を取るほうがまとまりはいいかもしれません。新顔で斬新さをアピールするのではなく、政権を担った経験者が自由党の小沢一郎代表と手打ちするぐらいの意気込みで取り組まないと道は開けないでしょう」

 一方で、こんな声もある。

「大臣経験者は避けたほうがいい。顔だけは刷新しないと。小沢さんは泥船には乗らないですよ。小池百合子都知事に近づこうとしているように見えますけどね」(前出の市議)

 ブレーンとして民主党の政権交代を支えた法政大学の山口二郎教授はこう唱える。

「落ち目のときこそ自分たちが創った政党への誇りや愛着が必要なのに、民進党にはそれがない。自民党との一番の違いです。悪口を言い合うばかりでは有権者の信用や期待は得られない」

 野党協力も小沢氏や共産党といった「外側の人」のほうが熱心なのが実情だ。日本の政治を転換するビジョンを議論する方向に発展していない。山口氏はこう嘆き、言葉を続けた。

「民進党の存在意義を再確認することが次期代表選の課題になる」

(編集部・渡辺豪、山口亮子)

AERA 2017年8月7日号