森本:他社と比べて特別な試験やフローがあったわけではありません。4回の面接は毎回すごく楽しくて、大爆笑が起きるほど。お互いに話を共有していくという感覚でした。
黒川:私も面接のときは1日に何人もの人と会ったのですが、疲れるようなことはなく、毎回いろんな話ができて楽しかった印象があります。
●お互いを知るために
そんな楽しげな面接で、応募者の何を見ているのか。
「面接は、14のリーダーシッププリンシプルに基づいて行っています」
と説明するのは、人事部ディレクターの上田セシリアさん。アマゾンでは、管理職かどうかにかかわらず、すべての人が「リーダー」として行動することを求められる。その信条として掲げられているのが左に挙げた14の「リーダーシッププリンシプル」だ。
「応募者の方にもこれを読んで共感できるかどうか考えてもらう。社内にはこれらの信条がほぼそのまま根付いているので、この要素に共感できないと感じたら、たぶんアマゾンとは合わないんです。面接は、そうやってお互いを知るためのものだと考えています」(上田さん)
特に重視されているのが、1番目の「Customer Obsession」、つまり顧客第一という考え方。それを実現するためにさまざまな要素が続き、最終的に「Deliver Results(結果を残す)」にたどり着くというわけだ。
「特に中途入社の場合、面接に来るのは大きな成果を上げた方々ばかり。成果だけ見たらみなさん採用したくなっちゃう(笑)。だから、成果にたどりつくまでの考え方、プロセスを教えていただきます」(同)
現場で働く社員たちはプリンシプルをどう見ているのか。
黒川:入社前は、理想を言ってるだけなんじゃないの?と思っていたんですが、違いました(笑)。仕事をスムーズに進めるためのツールとしてちゃんと機能している。「それちょっとDive Deep(深掘り)しておいて」とか「Bias for Action(行動あるのみ)でいこうよ」とか、よく使われますよね。
中山:リーダーシッププリンシプルを中心に物事が考えられている。
森本:カスタマーエクスペリエンスのことをCXというんですが、何か提案が出たときも、「CXがかなっていたら実行しちゃっていいよね」とか。お客さんが喜ぶことだったら一回やってみよう、って。
黒川:特にカスタマーオブセッションは、いちばんきらめいている重要なもの。これに尽きると思う。アマゾンで買い物をするお客さまだけでなく、普段のミーティングでも「いまはこの相手が自分のお客さま」とマインドセットを変えるようにしている。どんなときでも何らかのカスタマーオブセッションを頭に入れて仕事をするようになりました。