稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。2016年1月まで朝日新聞記者。初の書き下ろし本『魂の退社 会社を辞めるということ。』(東洋経済新報社)が発売中
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。2016年1月まで朝日新聞記者。初の書き下ろし本『魂の退社 会社を辞めるということ。』(東洋経済新報社)が発売中

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 先々週のアエラの特集は「最良の友は犬かか」。いや正直どっちでもいーし……と心の中で突っ込んだアフロでしたが、中身を読み考えを改めました。

 ペット界に起きていることは人間界に起きていることの反映です。高齢化も、愛が経済にしゃぶり尽くされる現実も、すべてが今を生きる自分と無縁ではない。むしろ、今ここにあるのに直視せず逃げている深刻な問題を、あられもなく表面化したのがペットの世界かもしれません。

 中でも私が一番おののいたのが、このところ猫が「イヌ化」しているんじゃないかという記事です。

 猫の魅力は、その自立した生きる姿勢。どれほど飼い主が愛を注ごうが決して媚びず、気ままな自由は手放さない。小学生のころ猫を飼っていた私にも、そのボヘミアンなクールさは強烈な憧れでした。ところがその猫が、犬のごとく飼い主の顔色をうかがうようになってきたらしい。

 これは大問題です!

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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