で、その理由を読み、私はさらに震撼した。生殖と食事を管理されると生き物は自由を失い家畜化されるという。これってだけのこと?

 生殖はともかく、今や多くの人が忙しさを理由に食事を作ることを億劫がるようになりました。病人や高齢者でなく普通に動ける人たちも、出来合いのおかずを買い、配食サービスを受け、家事代行を受けることがどんどん当たり前になっています。

 で、これってもしや、自分で獲物を狩ることをやめて美味なキャットフードを食べるようになり、結果、飼い主のご意向を「忖度」するようになった猫と同じでは?

 自由と自立はセット。生きるために必要なことをする能力を手放すのは、思った以上に危険なことかもしれません。男も女も子供も、自分で食べるものは自分で作る力を持つ。ナニ難しいことなんてありゃしない。ご飯を炊き、味噌汁を作れば十分なごちそうです。その力を失ってはならぬ。共謀罪など持ち出されずとも自ら自由を投げ捨てるのが嫌ならば。レッツ料理

AERA 2017年7月3日号

著者プロフィールを見る
稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

稲垣えみ子の記事一覧はこちら