松井一郎大阪府知事(撮影/藤岡みきこ)
松井一郎大阪府知事(撮影/藤岡みきこ)

 公明党の賛成もあり、大阪都構想の制度案を議論する法定協議会(法定協)の設置が大阪市議会で可決、都構想が再始動した。維新代表の松井一郎大阪府知事に、これまでの歩みや将来展望などについて聞いた。

──人気抜群だった橋下徹前大阪市長引退後も選挙で強い理由は。

松井一郎(以下、松井):天下り廃止や既得権益見直しの行財政改革の前に、自分たちの身を切る改革を実行したことを評価していただけたと思います。府議会の過半数を取って1カ月余で府議の定数を2割減らし、議員報酬も3割カットしました。それで初めて納税者が納得できない税金の使い方を見直して財源が生まれ、年間約200億円かかる私立高校教育費無償化も6年継続できています。

──都構想の再登場は大阪の外から見ているとわかりにくい。

松井:橋下氏だけでなく、否決された時点で私も政治家を辞めるつもりでした。しかし、大阪会議という場で都構想の対案を議論すると主張していた自民党が、「対案ではない」と言い出して会議が全く動かなかった。これでは「府市合わせ(不幸せ)」と揶揄されていた時代に逆戻りするという危機感から、新たな都構想を公約に掲げ、2015年11月のダブル選に臨んで勝ちました。再び民意を得たので、前回とは違うバージョンアップした設計図を提案するのが責務と思っています。

──法定協設置にあたり、公明党は大阪市の存続を前提に区の権限を強化する総合区制度導入を主張しています。

松井:我々は公選区長、公選議員からなる予算編成権を持つ基礎自治体としての特別区という基本線は崩していません。法定協では総合区の議論を深めますが、住民投票は特別区設置についてイエスかノーという形ですから、総合区に賛成の方はノーを投じていただくことになります。

──カジノを含む統合型リゾート施設(IR)推進計画について教えてください。

松井:大阪市此花区の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)を予定地に世界で一、二を争うような施設を造りたい。大阪府に来る外国人旅行者は私が知事になった11年から比べると6倍増で、今年は1千万人を超える勢いです。IRができればプラス1千万人で、年間2千万人という試算になる。雇用も6万人増を見込んでおり、観光産業の柱になると確信しています。

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