「産業革命というと爆発的な経済成長が起こったような印象を与えますが、近年の研究では革命期の経済成長率は1%程度。しかし19世紀後半になるとGDPも飛躍的に増加、失業率も下がり、賃金も上がってきます。つまり一般庶民が産業革命の果実を手にするのはかなり後の時代で、革命期は失業者の多い苦難の時代であったことは確かです」(同)

 工場の出現で誰でもできる仕事が増え、子どもを労働力として酷使する工場も増えた。これが人道的な批判を浴び、教育制度の整備にもつながったという。

●PC登場でも失業せず

 そんな産業革命の荒波を200年も前に経験したセンパイたちをよく知る、友松教授に聞いてみた。AI革命を生き抜く教育とは?

「イノベーションが起こることは不可避。そういう時こそ、どんな時代にも対応できる深い教養、高いコミュニケーション能力、バランスの取れた判断力をもった人を育てる教育が必要なのかもしれません」

 そういえば2000年代の初めごろ、自分はこんなタイトルの記事に関わったことがある。

「パソコンでOLが失業する」

 半信半疑だったが、当時OLたちが担っていたデータ打ち込みなどの作業は、本当にパソコンに取って代わられてしまったものも多い。

 かつて、OLたちに降りかかったIT革命の火の粉に着目。この記事を企画した、モバイルウェブのサービス提供会社「ドーモ」の代表、占部雅一さんが言う。

「とはいえ彼女たちも、やられてばかりではなかった。学校に入り直し、今はバリバリ働いている元OLもけっこう知っています」

 教育は、イノベーションにのみ込まれない重要な武器。第4次も、かかってこいや!(ライター・福光恵)

AERA 2017年6月5日号