「リストラなどがあっても、富士通と日立に比べ、東芝の従業員からの相談数は圧倒的に少ない。社風なのか、口をつぐんでいる印象です」

 3月30日、午前7時半。臨時株主総会の会場に一番乗りしたのは、OBの男性(70代)だった。凋落の原因をこう語った。

「西田(厚聰元相談役)が東芝をダメにした。リーマン・ショックで巨額の赤字を出し、社長辞任以降も、影響力を持ち続けた。自分に近い出世レースから落ちていた田中(久雄元社長)を社長にしたのは呆れた。経営陣を総入れ替えしなければ、東芝は立ち直らない」

 4月6日朝、西田元相談役を自宅前で直撃した。東芝は西田氏を含む旧経営陣5人に計32億円の損害賠償を求めている。西田氏は言った。

「申し訳ないが、東芝と係争中のためコメントはできない」

 車に乗り込む間際、隣にいた夫人が言葉を添え、頭を下げた。

「東芝をよろしくお願いします。社員はみな真面目で、頑張っています」

AERA 2017年4月17日号