高草木氏によれば、「大半が終了届を出したことを伝えずに、姑などと徐々に距離をおく」という(撮影/写真部・小原雄輝)
高草木氏によれば、「大半が終了届を出したことを伝えずに、姑などと徐々に距離をおく」という(撮影/写真部・小原雄輝)

 年末年始に実家に帰省して、親の老いを感じた人も多かったのではないだろうか。両親の介護や実家の管理、財産の処分、姑問題など、そろそろ考えてみませんか。AERA 2017年1月23日号では「家族問題」を大特集。

 夫と死別した後、義理の親きょうだいと関係を切る女性が増えている。「姻族関係終了届」──。この紙さえ役所に提出すれば明日から他人になることができる。

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「2014年に夫をがんで亡くしたとき、親戚の人たちから『これからはお義母さんと助け合っていってね』と言われたんです。正直、冗談言わないでよっていう気持ちでした」

 こう話すのは静岡県在住のシングルマザー・Sさん(40代)だ。亡くなった夫と籍を入れたのは13年前のこと。互いに再婚で、夫には前妻との間に2人の子ども、Sさんには1人の連れ子がいた。義父母の実家での2世帯同居生活は、2年目に娘が生まれたこともあって、“それなり”に幸せなものだったという。だが、出産から3年後に夫のがんが発覚。そこから生活は徐々に暗転していくことになる。

「夫が闘病生活を始めてしばらくして義父が亡くなったのです。将来のことを考えたら、一緒に暮らしている夫が自宅を相続するのが普通だと思っていました。ところが、義母は夫と義妹に相続放棄させ、すべてを自分が相続した。夫が相続した後、がんで亡くなったら私に相続権が発生します。けど、義母がすべて相続すれば、仮に夫が早く亡くなっても、夫の財産の相続権しか私には発生しません。私に家を相続させたくないと思って、義母はそうしたのかなと」

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 実は、再婚当初から義母との関係は決して良好とはいえなかった。義母はSさんや連れ子と積極的に口をきこうとはしなかった。家事をまったくしないにもかかわらず、「味付けが濃いわね」などと批判することもしばしば。まれに義母がデザートを取り分けると、妙にSさんの分だけ小さかったりもした。おのずとSさんから義母に話しかける機会も減少。夫に「お義母さんと離れて暮らしたい」と訴えることもあった。

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