「この世界の片隅に」の真木太郎さん「監督のロマン実現へ黒衣に徹する」

2016/12/30 11:30

 父は、水戸黄門の印籠シーンで有名な脚本家の故宮川一郎。父親が手掛けたドラマの放送は一家で正座して見ていたという。この世界に飛び込んだのも父の影響だが、

「残念ながら脚本の才能は遺伝しなかった」

 と笑い、自身の仕事を、

「監督のロマンを実現すること。そのための資金調達とビジネスプラン作り」

 だと言い切る。黒衣に徹することが信条だ。

 ターニングポイントになったのは02年の「千年女優」だ。

「すっごく面白くて自分でも感動しながら作ったけれど、当たらなかった。僕に製作委員会やチームの意思をまとめる力がなかったからです」

 だからこそ今作では、製作委員会に集った14社を前に断言した。

「僕が全てに責任を持ちます」

 そうして腹をくくり決定権を一任してもらった結果、製作進行や公開規模の拡大、宣伝プランなどあらゆることに意思を通し、成功につなげた。

 しかし、決してワンマンではない。「飲み友達」と呼ぶアニメや映像業界のブレーンは「死ぬほどいる」といい、迷ったときは彼らにアドバイスを請う。

「この作品が成功したことで、既存のテーマや枠組みにとらわれない映画づくりをやってもいいんだ、と思うクリエーターが出てきてくれたらこんなにうれしいことはない」

 デジタル配信や海外展開など、アニメビジネスは今、チャンスの入り口にいるというのが真木さんの考え。だから「死ぬまで現役だ」と宣言している。(編集部・竹下郁子)

AERA 2017年1月2-9日合併号

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