右肩上がりの薬剤費を抑える三つの秘策 (2/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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右肩上がりの薬剤費を抑える三つの秘策

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塚崎朝子AERA#健康
高齢の両親のおくすり手帳を見て、処方されている種類と量に驚く人は多い。「残薬」による無駄の温床とも指摘されている(撮影/写真部・岸本絢)

高齢の両親のおくすり手帳を見て、処方されている種類と量に驚く人は多い。「残薬」による無駄の温床とも指摘されている(撮影/写真部・岸本絢)

医師から出される処方薬の効能の進化や改善は、価格とのバランスも考え合わせなければならない段階に入っている(撮影/写真部・岸本絢)

医師から出される処方薬の効能の進化や改善は、価格とのバランスも考え合わせなければならない段階に入っている(撮影/写真部・岸本絢)

薬代を含む診療費は、高額になればなるほど自己負担を上回る公費が投入されており、保険医療の窮迫は見えないところで進んでいる(撮影/写真部・岸本絢)

薬代を含む診療費は、高額になればなるほど自己負担を上回る公費が投入されており、保険医療の窮迫は見えないところで進んでいる(撮影/写真部・岸本絢)

 子どもの場合、多剤の長期化はまれだが、風邪などでせき止め、熱冷まし、鼻水止め、整腸剤、漢方、貼り薬、そして抗菌薬などと、一時的に薬が積み重なることがある。特に抗菌薬は、安易に使い過ぎると耐性菌が蔓延し、効く抗菌薬が将来的になくなる恐れがある。薬剤耐性菌は、先の主要7カ国(G7)保健相会合でも主要課題になったほどで、とりわけ、抗菌薬の使用が突出して多い日本は、適正使用が求められている。

 今年度の診療報酬改定では、入院患者の内服薬を減少させる取り組みを評価する「薬剤総合評価調整加算」も新設されて、国も多剤の対策に本腰を入れ始めている。

 ただし、患者の自己判断で薬を減らしたり中止したりすると、病状の悪化につながる可能性もある。気軽に相談できるかかりつけ医やかかりつけ薬剤師を持っておくことが肝心だ。

 薬剤費を減らすなら、量だけでなく値段にも注目する必要がある。

●費用対効果の視点も

 1年間使えば薬代が3500万円に達するがんの免疫療法薬「オプジーボ」など、高額の薬剤が最近、何かと世間をにぎわせている。このままではいけないと、薬や医療機器の価格を議論するときに「費用対効果」を考慮しよう、という取り組みが今年度から始まった。

 基本的にメーカーと使う側の「交渉」と市場価格に基づいて決まる欧米諸国のやり方に対し、日本には薬価を決めるための「ルールブック」があるが、そこには「費用対効果」という観点は入っていなかった。

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会に12年、費用対効果評価専門部会ができた。ここでいう「費用」は、個人の負担ではなく、国全体の負担を指す。今年4月、費用対効果の検討対象になった医薬品は、オプジーボやC型肝炎治療薬のソバルディやハーボニーなど七つ。具体的には、メーカーに分析データの提出を求め、専門家が分析結果の妥当性を検証。次回の薬価改定時に、価値に見合った価格に是正していく。

 検証には、「質調整生存年(QALY)」と呼ばれる指標を使う。QALYは、薬によって延びた生存年数に、その間の生活の質も加味したもの。すでに英国などで利用実績がある。

 英国では、医療費はすべて国の税金で賄われており、費用対効果への意識は高い。一方、医療サービスの内容に地域間格差があったことから、1999年に国立医療技術評価機構(NICE)が創設され、薬などの費用対効果を測り、使い方の推奨などを提言するようになった。


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