親に促されてDNA鑑定する“父親”が急増、鑑定現場の人間模様が泣ける (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

親に促されてDNA鑑定する“父親”が急増、鑑定現場の人間模様が泣ける

このエントリーをはてなブックマークに追加
田茂井治AERA#出産と子育て#男と女

「私的鑑定」の鑑定書の一例(法科学鑑定研究所から)。遺伝子座のなかの反復数(DNAの繰り返し領域)を調べることで親子関係の有無がわかる(撮影/大野洋介)

「私的鑑定」の鑑定書の一例(法科学鑑定研究所から)。遺伝子座のなかの反復数(DNAの繰り返し領域)を調べることで親子関係の有無がわかる(撮影/大野洋介)

 料金は私的鑑定が2万~4万円程度。法的鑑定は7万~8万円が相場。鑑定人が立ち会うため、出張が伴う場合は、別途交通費が上乗せされる。鑑定結果が出るまでに要する時間は、どちらも1~2週間程度。その間、鑑定所ではさまざまな人間模様を目撃することができるという。

「先日来られた20代の男性は、浮気相手にできた子どもを連れての私的鑑定でした。2週間後に結果を手渡すと、すぐさまガッツポーズ。その場で『ありがとうございます!』と腰を90度に曲げて感謝されました。親子関係はなかったんです。エレベーターの扉が閉まったあとも、『よっしゃー!』という雄叫びが聞こえてきました(笑)」(山崎氏)

 一方で、依頼者の涙に心を打たれることもある。

「先日は、生まれたばかりの子どもを連れた30代のご夫婦が『父子鑑定、母子鑑定、両方やってほしい』と訪れました。聞けば、長い間不妊治療を行い、体外受精で授かった子ども。異なる人の遺伝子が入っていないか? 本当に自分たちの遺伝子を受け継いだ子どもなのか?と不安を感じていたようです。完全にお二人の子どもだとわかって、涙されるのを見たときは私も涙をこらえられませんでした」(山崎氏)

●親子関係ナシは2割

 実は、親子鑑定において、「親子関係がない」と判断されるケースは少ない。

「年間2千件以上の鑑定を行っていますが、80%以上は『親子関係がある』という結果。ほとんどが『自分の子どもなのか?』と疑いを持っての鑑定の割には、親子関係が認められないケースは少ない」(山田氏)

 冒頭のAさんは最終的には鑑定を取りやめたのだが、Bさんは鑑定の結果、自分の子どもであることが確認できたという。「ホッとした」と話すが、逆の結果が出ていたら、大騒動に発展していたことは間違いない。離婚問題などを数多く手掛けるアディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士が話す。

「婚姻期間中に懐胎した子について、生物学上の父子関係が否定されれば、妻の不貞行為が認められ、離婚請求は基本的に認められるでしょう。100万~300万円の慰謝料を請求することも可能。ただし、法律上の父子関係が認められる場合は、DNA鑑定で生物学上の父子関係が否定されても、養育費については支払い義務を負います」

 子どもが生まれてから1年以内なら、DNA鑑定で生物学上の父子関係が否定された証拠とともに嫡出否認の訴えを起こすことで、法律上の父子関係がないと認めてもらうことも可能。

 だが、1年を過ぎている場合にはその訴えが認められるケースは少ないという。血が繋がっていなくても、養う義務が発生するのだ。だからこそ、幼いわが子を連れて、鑑定に訪れる人が後を絶たない。不倫騒動がたびたびニュースになる昨今だけに、DNA鑑定の依頼者は当面、減ることはなさそうだ……。(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2016年10月24日号


トップにもどる AERA記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加