と一喝。元三重県知事の北川正恭・早稲田大学名誉教授は、今後は細かくマニフェストを検証することが不可欠だとし、

「舛添氏は『東日本大震災の復興支援をする』と言いつつ、被災地には一度しか行かなかった。言いっぱなしを許してきた都民と都議会にも責任がある。都庁職員の綱紀粛正も必要です」

 と引き締めを促す。

 前出の青山氏も「日本人の美徳である清貧さ」を次の知事選びのキーワードに掲げた。

●相反する能力をクリア

 長く都政をウォッチしてきた都政関連ニュースの専門紙「NEWS TOKYO」の平田邦彦主筆は、

「GDPで比べると、東京は世界のトップ20カ国以内に入る規模がある。それだけ大きな都市のリーダーを選ぶということは、一国の宰相を選ぶことに匹敵します。東京は、それだけのポテンシャリティーのある行政体ということです」

 と訴える。そんな平田氏が思う「理想」とは──。

「都民をどう守っていくのかという確かな『哲学』があることです。ブレない軸があれば、職員に一定の裁量を与えることができる。職員の心を、どう打つかが大切でしょう」

 清貧さと卓越した国際感覚、幅広い業務をこなせるバランス感覚。相反する能力のようだが、それらをすべてクリアしなければならないからこそ、都知事選びは難しい。平田氏は続けた。

「このことを理解しないままに、『見た目がいいから』などの理由だけで投票してはいけない」

 約40日後の投開票日。東京都の顔に選ばれるのは誰だろうか。(編集部・古田真梨子、宮下直之)

AERA  2016年6月27日号

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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