自営業の女性(38)は現在小2の長女が3歳だった頃の「置き去り未遂事件」をまざまざと思い出した。家族で出かけた買い物の途中、何度注意しても棚から商品を勝手に取り出し、帰りの車でもわがままし放題だった長女に、「降りなさい」と怒鳴り、住宅街に引きずり降ろしたのだ。夫とも、

「私たちは甘やかしすぎかも。親として毅然とした態度を示したほうがいい」

 と話したうえでのことだったが、一緒にいた二つ上の長男が、

「降ろさないで。置いていっちゃだめー」

 と号泣して我に返った。

「泣きじゃくるお兄ちゃんがいなかったらどうなっていたかと思うとゾッとします」(女性)

 ただ、今もあの時どうすべきだったかはわからない。最近は周囲の目も厳しいので、人前で叱る時にも「虐待」と思われないよう気も使う。

「本に書いてあるような専門家のアドバイスは当てはまらないことが多い。いろんな経緯があった末の厳しい態度かもしれないのに、結果だけピンポイントで見て、親が悪いと非難するのはどうなのかなって思います」

●恐怖しか残らず躾ではない

 一方、米国で3人の子育てをする日本人女性(42)は言う。

「こちらでは、12歳以下の子どもを家や車に放置することも違法と聞いて、初めはすごく不便を感じていました。でも今は、ある程度法律で強制したほうが親も行き過ぎを自制できるのかなとも思います」

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