田野岡大和くんは、行方不明になった場所から北東に約5キロの陸上自衛隊駒ケ岳演習場で発見された。マットレスの間に挟まって寝ていたという (c)朝日新聞社
田野岡大和くんは、行方不明になった場所から北東に約5キロの陸上自衛隊駒ケ岳演習場で発見された。マットレスの間に挟まって寝ていたという (c)朝日新聞社

 北海道の山中に置き去りにされた小2男児が「無事発見」された。このニュースに子育て中の親たちは、「躾」とは何かを自問した。

 どれだけ怖くて心細かったことだろう。口にできるのは水だけ。電気はなく、暗闇の中で、時に激しく打ち付ける雨音。身を寄せていた自衛隊演習場内の小屋で「マットに挟まって過ごした」という田野岡大和くん(7)の6日間を想像すると、胸がつぶれる。

 大和くんが北海道七飯町の山中で行方不明になったのは5月28日。両親が、公園で人や車に石を投げつけた息子を「躾(しつけ)」のために置き去りにしたことが判明すると、ネットを中心に非難の声が沸き起こった。教育評論家の尾木直樹さんはブログにこう記した。

「悪い躾の見本です…虐待です」「虐待とは『子どものためといいながら、親の気持ちを満足させるため』」「子どもが納得していないのに恐怖や痛みを与え従わせるのは悪い躾」

●他人事ではない 住宅街で未遂

 事件は「虐待」に敏感な海外メディアからも注目を集め、英BBC Newsのフェイスブックには「両親は逮捕されるべき」など、1500件を超えるコメントが寄せられた。

 懸命の捜索にもかかわらず、手掛かりはゼロ。合同捜査本部も解散した矢先の「無事発見」に多くの人が安堵したが、同じような年ごろの子を持つ親たちにとって今回の事件は決して他人事ではなかった。

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