「ビュッフェは、それぞれが好きな種類の料理を、好きなだけ食べられるところが魅力。とくにムスリムやベジタリアンの観光客には好評です」(久富さん)

 たとえば有機野菜を使ったワンランク上のビュッフェを提供する「大地の贈り物 上野店」などが、リピーターなどを中心に人気を集めているという。

●神戸はシャンパーニュ

 香港で使われる繁体字の検索ランキングでは、「和牛」と「神戸牛」が並ぶ不思議な現象が。神戸牛も和牛なのに……。

「海外の方には、神戸牛は特別な存在。スパークリングワインの代名詞がシャンパンであるように、和牛の代名詞が神戸牛。神戸はシャンパーニュみたいなものなんですよ」

 そう話すのは、ぐるなび外国語版で人気の「神戸牛すてーき処 牛庵(ぎゅうあん)」(東京・銀座)のご主人、松野正雄さんだ。松野さんは商社マンから脱サラして、30年前にこの地にステーキ店を開店。商社マン時代に鍛えた英話を生かした、丁寧な素材の説明なども好評で、「国際電話で予約が入る」ほど、海外でその名をとどろかせている。

 ディナータイムに店を訪ねると、アメリカ、香港、台湾など、外国人の予約客が次から次へと来店。日本人だけのグループは、わずか1組だけだった。アメリカから来たカップルも、こう言って神戸牛に舌鼓。

「神戸牛が大好きだけど、アメリカでは高くて手が出ない。思う存分食べられて幸せ」

 ちなみに同店のお客さんに聞くと、海外では神戸牛は、松阪牛などほかの高級和牛より、ずっと有名だ。どうしてなのか、松野さん、知ってます?

「コーベはマツザカなどより発音しやすいから、との説がありますが(笑)」

 最後に、英語の検索では「不動の1位」(水野さん)をキープしているという「すし」に迫る、「ラーメン」の新名所にも行ってみた。ネットでのつぶやきも多い池袋のラーメン店「無敵家」だ。平日の夕方にもかかわらず、店の前には30分待ちの行列。並んでいると、世界中の言葉が聞こえてくる。後ろに並んだ台湾からの女性観光客は、

「友だちみんな、日本に来ると必ず食べるラーメンです。私ももう2回来ています」

 店内で投稿したというSNSの書き込みを見せてもらい、自動翻訳してみると……。

「厚切りチャーシューともちもち麺で、台湾では有名な池袋のラーメン店。ヘビーだけどおいしいので食べ過ぎちゃった……」

 食レポも負けたかも?(ライター・福光恵)

AERA 2016年6月13日号