「お互いが仕事をしていて独立している。ビジネスライクかもしれないが、お金のことで不満をためこむより、これが一番居心地がいい」(Aさん)

 もともと、あまり無駄遣いをしないAさんが、結婚前からコツコツためた貯蓄は1千万円以上。ただ、妻の貯蓄はよくわからないと言う。

「妻は、独身時代に買った(投資用)不動産でも稼いでいるようだし、それなりにためていると思うのですが、貯金がいくらあるのかはよくわかりません」

 自動家計簿アプリを運営するマネーフォワードの調査によると、共働き夫婦の場合、お互いに別々の口座で家計を管理するケースが全体の約5割を占め、最も多かった。『共働き夫婦のマネー術』(日本経済新聞出版社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんは、共働き世帯の家計の特徴を、「収入源が二つになることで、お金の流れが複雑で、見えにくくなりがちです」と指摘する。

 花輪さんによると、子どもがいない共働き夫婦の家計は、このような「財布バラバラ型」が多く、浪費しがちだという。この夫婦のようにしっかり貯蓄もしているのは、レアケースのようだ。

「夫婦に共通する費目が少ないので、独身時代と変わらないお金の使い方になってしまう。子どものいる夫婦より余裕があるはずなのに、貯蓄できていない場合が多く見受けられます」(花輪さん)

(アエラ編集部)

AERA  2016年5月30日号より抜粋