そう話すのは、企業のSNSセミナーで講師を務めるフランテック法律事務所の社会保険労務士・毎(まいくま)典子さんだ。たとえ社名を明かしていなくても、ツイッター、フェイスブック(FB)、インスタグラムなど複数のSNSを総合し、写真、友だち、履歴を探れば身元特定できてしまうケースもある。企業や団体に所属している場合は、24時間その看板を背負う覚悟が必要だという。

 企業のスタンスも様々で、電通は「社名記載の際は申請が必要」とする一方、日本コカ・コーラは従業者研修を徹底して「私的SNS利用を推奨」している。規制が特に厳しいのが金融業界だ。30代男性の会社は、SNSの利用を原則、禁止している。非公開のメーリングリストで社名を明かして発言した際には、始末書を提出した。

「社名を付した発言そのものが認められなかった。海外のビジネスイベントはFBのアカウントなしでは申し込みできないことも多く、会社の規定に無理を感じています」

 企業が恐れるのは、社員個人の発言が会社の公式見解と捉えられることだ。一方で、採用面接で「SNSアカウントを教えて」と言い、多くの企業がSNSを採用に利用もしている。「SNS人格」が企業風土に合うかが大きなポイントだ。

AERA 2016年2月15日号より抜粋