都心のマンション価格が上昇している。なかでも新築マンション販売価格の上昇率が高いのは東京都外の近郊だ。背景には何があるのか(※イメージ)
都心のマンション価格が上昇している。なかでも新築マンション販売価格の上昇率が高いのは東京都外の近郊だ。背景には何があるのか(※イメージ)

 都心のマンション価格が上昇している。なかでも新築マンション販売価格の上昇率が高いのは東京都外の近郊だ。背景には何があるのか。

 11月17日に不動産経済研究所が公表した「首都圏のマンション市場動向」によると、10月の新築発売戸数は2921戸で、前月比20.2%の増加。一戸あたりの平均価格は5364万円で、前年同月比で804万円も上昇した。

 東京都区部に限ると平均価格は6877万円で、7千万円に届きそうな勢いだ。都心以外でも、熱海市ではJR熱海駅の近くに30階建ての「億ション」が建設中。また、三菱地所レジデンスが京都市上京区の鴨川沿いに建設中のマンションの最上階は、7億円を超える予定だ。

 首都圏の新築マンション価格は、この10年間でどれほど上がったのか。不動産専門データバンク「東京カンテイ」が上昇率の高い40駅をランキングにした。すると1位に検見川浜、2位に宮前平、4位に船橋、5位に戸塚、6位に大宮など、3位の田無を除くと、上位には東京都外の駅が並んだ。その背景を、東京カンテイ上席主任研究員の井出武さんが解説する。

「埼玉県の大宮、南浦和、西川口などは利便性の良さが見直されてきた。浦和周辺には良質な学校が多く、受験生の子を持つ母親にも人気が高い。千葉県の船橋、市川は毎年300戸規模の大型マンションが定期的に供給されているので、新たな人の流れができています」

 鉄道の新線効果がようやく出てきた駅もあるという。

「つくばエクスプレス沿線がそうで、28位の北千住はその象徴。駅前は見違えるほど整備されました。交通利便性は良いのに過小評価されていた駅が、正当に評価され始めた」(井出さん)

 つまりランキング上位には、居住用マンションとしての「実需」に支えられ、価格が上昇した駅が目立つようだ。ちなみに先のランキング上位の、現在の新築価格と中古価格の差額を計算したところ、軒並み2千万~3千万円台と差が開いており、裏返せば「中古がお買い得の駅」ともいえる。

AERA  2015年11月30日号より抜粋