「機械がうまく作動しないときは、何かひとつの大きな問題を見つけるというよりも、小さな問題をひとつひとつつぶしていく忍耐が必要です」

 小川が宇宙に興味を持ったのは、小学校低学年のときに親から星に関する本を与えられたのがきっかけだ。きれいな星の写真が印象的で、そのころからプラネタリウムのある近所の科学館に毎月のように通うようになった。親に小さな望遠鏡を買ってもらって家族で月を見たこともある。高校では地学部に入部し、学校に泊まり込んで流星群を見たり、文化祭でプラネタリウムを作ったりもした。

「子どものころから宇宙や科学が好きで、文系に進もうと思ったことは一度もないんです」

 大学・大学院では物理学を学んだ。大学院では、現在の仕事にも近い、地球磁気圏や太陽風など、地球周辺のプラズマ物理について研究。

「今、なんでも屋的な仕事をしているぶん一人当たりの仕事量も多く、プレッシャーを感じることもある。でも、憧れ続けていた仕事に就けて幸せです」

AERA 2015年10月26日号より抜粋