出張料理きまぐれやシェフ 吉田友則さん(45)他人宅のキッチンで手際よく料理を準備していく(撮影/写真部・大嶋千尋)
出張料理きまぐれやシェフ 吉田友則さん(45)
他人宅のキッチンで手際よく料理を準備していく(撮影/写真部・大嶋千尋)
料理の仕込みはほぼ済ませて持ち込む(撮影/写真部・大嶋千尋)
料理の仕込みはほぼ済ませて持ち込む(撮影/写真部・大嶋千尋)
アボガドの冷製ポタージュサラダ仕立てからスタート(撮影/写真部・大嶋千尋)
アボガドの冷製ポタージュサラダ仕立てからスタート(撮影/写真部・大嶋千尋)

 くつろげる自宅を出ることなく何でも済ませ、充実した時間を過ごす「ウチ充」が増えている。ウチ充と同時にセレブ気分も味わうことができる「出張サービス」も人気だ。

 東京・代官山の閑静な住宅街にある一軒家に、夫と3人の子どもと暮らす平山良香(よしか)さん(40)。今日は、自宅で友人の誕生日を祝うランチ会だ。キッチンで料理の準備をしているのは、出張料理きまぐれやのシェフ、吉田友則さん(45)。プロの料理だけに、味も盛り付けも見事。手料理とは別次元の美しい出来栄えだ。

「何より『自宅に料理人が来ている』という特別感がいい。ホームパーティーの料理を自分で用意したこともありましたが、ずっとキッチンにいて、ホストなのにお客さまとろくに話もできなかった。それに、子どもに目配りしながら料理を用意して、後片づけして……楽しいはずのおもてなしで、疲れ果ててしまいました」(平山さん)

 友人2人が到着すると、平山さんも一緒にテーブルに座っておしゃべり。料理が出てくるのを待つだけだ。運ばれてきた料理の説明を聞いて、みんなから歓声が上がる。

 吉田さんによれば、「子どもがいるので、自宅で料理をつくってもらって、気ままにワインを飲みたい」「友人を呼んで、自宅で素敵な時間を過ごしたい」「記念日だけど、病気で寝たきりで外食ができないから」など、シェフを呼ぶ理由はさまざま。核家族化で、親が子ども家族を呼ぶ口実に、出張シェフを呼んで食事会をする家庭もあるそうだ。

 所要時間は、準備に1時間(多人数の場合は2時間)、スープ、前菜、パスタ、メイン、デザートのコース終了まで2時間弱が目安。料金は2人で3万円、3~5人で4万円~(交通費別)。 

 一方、子育て中の女性にうれしい、こんな出張サービスもある。

 古屋美和さん(30代)は、3歳の息子を持つグラフィックデザイナー。週3日、広告会社に出勤し、残りの2日は自宅で仕事をしている。仕事と育児に忙しい母親にとって、ネイルサロンに行く時間を捻出するのは大変。そこで、古屋さんはインターネットで見つけた出張ネイルを利用した。

 東京都世田谷区の自宅に到着したのは、クボミネイルの久保美和さん(36)。自身も6歳の息子を持つワーキングマザーだ。出張ネイルを始めたのは2011年。ビジネスを始めたきっかけをこう話す。

「私自身もネイルが好き。だけど、育児中はなかなかサロンに行けなくて……。同じ思いをしている女性は多いと考え、自宅への出張ネイルを始めた」

 クボミネイルでは、別料金でネイル中に子どもを見てくれるスタッフの同行も依頼できる。

「同行者のリクエストは1割程度。予約時にシッターも利用すべきか相談されたら、まずはシッターなしで試してみるよう勧めている。子どもは、DVDを見たりしながら、案外おとなしくしているもの。母親がネイル中で手を使えないときは、私が子どもをトイレに連れていくこともあります」(久保さん)

 料金は、出張先が23区内で、ネイルのオフが不要なら1万800円。料金には、ネイルケアとジェル、持参したサンプルから選べるアートやデコレーションが含まれる。

AERA  2015年9月21日号より抜粋