「悪質な法人の中には人件費の安い、経験の少ない保育士を集め、研修なども受けさせないというところも。その結果、保育士は疲弊し長続きしない。保育への意欲が削がれ保育の質が低下し、しわ寄せはすべて子どもに向くという悪循環になりかねないのです」

 とはいえ保活中の保護者が「難あり」の園を見分けるのは難しい。自衛策はないのか。

 2人の娘を認可と認可外の園に通わせた女性は、保育園を選ぶ時のコツをこう話す。

「運営事業者も調べるといいと思います。一気に何園も開設している事業者は注意が必要だと思いますよ。実力のある保育士さんを、そんなに大勢確保できるとは思えませんから」

 小学2年生の女児を持つ中野区の女性(46)は、保育園時代を振り返りこう話す。

「保育の質が低いと感じたら、その時にどんどん伝えていくべきです。大きな事故が起こって初めて改善の必要性が明るみに出ることもありえますから」

 猪さんもこうアドバイスする。

「預かってもらえるならどこでもいいという考えを改め、声を上げていくことは大事ですね。要望を伝える際は、保護者の会を立ち上げ、総意として文書で改善要求等をするべきです。相手が株式会社の場合は、会社の本部や自治体のほか、消費者庁も有効かもしれません。訴えられるところにはすべて声を上げていきましょう」

AERA 2015年8月24日号より抜粋