人気観光地の箱根山は、大型連休中に火口周辺への立ち入りが規制される警戒レベル2に上がり、にぎやかな報道が続いたが、噴火には至っていない。今月11日にレベル2になった浅間山、4月に警戒度が上がった蔵王山のほか、吾妻山は昨年12月に、草津白根山は同6月に、それぞれレベル2になったが、いずれの火山も噴火していない。

 活発化したと感じるのは、御嶽山の噴火で戦後最悪の犠牲者が出て火山に対する関心が高まり、大きく報道されるようになったことに加え、御嶽山がレベル1(平常)のまま噴火した「教訓」から、警戒呼びかけのハードルが下がったためといわれる。

 今年が特別ではなく、活発な火山活動が注目された年は繰り返されてきた。2000年は、3月に有珠山が噴火、6月には三宅島が噴火して全島避難に至った。秋からは富士山でマグマの動きの関連とみられる低周波地震が急増、噴火に備えた災害予測図づくりなどの防災対策が進められることになり、大騒ぎとなった。

 震災や原発事故の陰で大きく報道されなかったが、2011年の東日本大震災直後も動きはあった。国内の13火山の周辺で地震活動が活発化した。そのひとつが富士山。3月15日にマグニチュード(M)6.4の地震が起き、火山学者たちは、いよいよ噴火かと肝を冷やしたが、結局、噴火に至らず沈静化した。

 火山でマグマが上昇して地震を繰り返しても、地上に至らない「噴火未遂」に終わることが多い。複数の火山で同時期に地震が増えても、歴史に記録されていない例が多いとみられる。今のような複数の火山が活発化した状態も、実は繰り返されていたのかもしれない。

AERA 2015年6月22日号より抜粋