女性によれば、善しあしは別として、フランスなど欧州では階層が固定化しているため、上を目指すという発想も生まれにくい。また、社会に多様性があるので「よそはよそ、うちはうち」が徹底しているという。

 今の日本の親たちがスーパーを目指す背景に、「昭和の母の亡霊」を見るのは、育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんだ。現在の子育て世代は、高度経済成長期のモーレツ社員の父と専業主婦の母、という家庭で育った人が多い。女性は「子育てに全力投球してくれた母」の幻影を追ってしまう。

 さらに「自立した女性になって」という母の期待にこたえる形でキャリアを積んできた場合、「母の自慢の娘でいなくては」というプレッシャーもある。つまり、二重の「母の亡霊」がとりついているのだ。

AERA 2015年6月8日号より抜粋