父の浮気相手の家にお遣い…嫌な思い出から感謝の気持ちへ 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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父の浮気相手の家にお遣い…嫌な思い出から感謝の気持ちへ

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 近すぎるだけに「親子」って難しい。でも、必ず忘れられない思い出がある。親子のエピソードを集めました。

■死の1週間前、父に言えた「ありがとう」(50代・主婦・都内在住)
5年前亡くなった父とは仲が悪く確執がありました。父は若い時、浮気相手のアパートに入り浸り、自宅に戻らない時期がありました。小学校に上がる前くらい、私は母に手を引かれ父の浮気相手のアパートを訪ねました。

母におんぶされた弟が何度も泣き、そのたびに、母にねだって買ってもらった棒キャンディーをかざしてあやしたのを覚えています。アパートに着くと気持ちは沈みました。母親から命じられるのがわかっていたから。

「あそこにパパがいるから、帰ってきてって言っておいで。お姉ちゃんだから、できるね?」

 お姉ちゃんだから、の言葉が常に私を奮い立たせました。

「パパ、帰ってきてっ」

 父とは心底嫌な思い出ばかり。でも、唯一、首都圏の大学に通うため地方から上京させてくれた時は、ありがたかった。ずっと家を出たまま故郷に帰らなかった娘に、「可愛い子には旅をさせろ」と、口を挟まなかった。

 父が3度目の放射線治療入院をした時、初めて父から電話をもらって、どういうわけか素直になれた。

「いろいろあったけど、私の好きなように人生を歩ませてくれたことだけ感謝している。ありがとう」

 照れくさくて短く伝えた。1週間後、父は亡くなりました。

「お父さん、あなたと仲直りができたって喜んでいたよ」

 母と号泣しました。

AERA  2014年9月15日号より抜粋


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