「人は見た目が9割」とよく言われる。
美人か否か、太っているか痩せているかで、話の伝わり方が違うのだとか。
見た目によって周囲の変化を実感した、3人の体験談をどうぞ。
(編集部・齋藤麻紀子、深澤友紀)

 4年ぶりにお会いした経済評論家の勝間和代さん(45)は、見違えるように丸かった。体形のことではない。柔らかい笑顔に、穏やかな声。とりまく空気が、丸かった。

 4年前の取材テーマは、iPhone活用術だった。

「電車を待っている数分でも、メールチェックすべし」

「自転車通勤の時間もムダにせず、英会話アプリで学ぶべし」

 機関銃のような勝間節は、メモをとるだけで精いっぱいだった。が、今回は様子が違う。

「こんにちは。暑いですね」

「部屋が少し暗いですかね。電気、つけましょうか」

 声も、空気も丸い。何があったんですか? 勝間さん。

「見た目が変わったせいでしょうか。最近、周囲に溶け込めている気がするんですよ」

●男性陣が急に優しく…

 もともと見た目を気にするタイプではなかった。会社員時代は化粧もそこそこ。洋服は「着やすければいい」と思っていた。

 当時、見た目の重要性を教えられる機会があった。知人に、美人弁護士がいた。日中は、常に日傘をさす。お化粧もバッチリ。理由を聞くと、こう答えた。

「キレイな方が、仕事もらえるから」

 美人ゆえにお金が稼げる。なるほど、世の中には「美人」という職業もあるのか。新たな発見だったが、当時はまだ会社員。仕事には困っておらず、まねるには至らなかった。

 独立後も、見た目にこだわることはなかった。著書を出し、人前に出る機会が増えても、考えは変わらず。その間に体重は増え、9号の服が入らなくなった。テレビ番組のダイエット企画から、声がかかった。

「なるほど。痩せることが、仕事になるのか」

 スタッフの勧めもあり、出演を決めた。高カロリーの外食をやめ、野菜中心の食生活に。パソコン仕事は、ジョーバ(フィットネス機器)に乗りながら。体重は2年で5キロ、体脂肪は30%から22%に減った。ネイルや眉毛カットにもお金を使った。周囲の反応が変わった。

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