静まり返る室内、住所は明かさず…新幹線の「心臓部」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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静まり返る室内、住所は明かさず…新幹線の「心臓部」

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新幹線総合指令所では、車両、駅、線路、各種施設など、膨大な情報を日々処理している。指令員たちはみな緊張した表情だ。大阪には新幹線第2総合指令所があり、バックアップ体制も整っている(撮影/写真部・工藤隆太郎)

新幹線総合指令所では、車両、駅、線路、各種施設など、膨大な情報を日々処理している。指令員たちはみな緊張した表情だ。大阪には新幹線第2総合指令所があり、バックアップ体制も整っている(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 住所を明かさない新幹線総合指令所。世界随一の安全運行を支える現場を取材した。

 東海道、山陽、九州新幹線のあらゆる運行情報を管理する新幹線総合指令所。東京都内にあるが、セキュリティーを考慮して、具体的な住所が秘密にされている「心臓部」だ。

 特別に取材の許可を得て指令所内に入っていくと、コンピューターのモニターが所狭しと並ぶ広大な部屋にたどり着いた。正面に設置された縦3メートル、横22メートルの青みがかった巨大な帯のような総合表示盤が、ひときわ存在感を示している。

 巨大な総合表示盤の左半分には東京駅を起点とする東海道新幹線、右半分には山陽新幹線の路線図が記されている。各車両の現在位置を示すランプが光り、ひと目で分かるようになっており、東海道・山陽新幹線の全区間を24時間体制で監視、制御している。

 傍らにいた同社新幹線鉄道事業本部運輸営業部輸送課の担当者は、「営業運行が終わった深夜以降も、保守用車両が稼働し、線路や設備の補修も頻繁に行われていますので、気は抜けません」と穏やかに説明した。

 室内は静まり返っている。話声ひとつせず、カタカタと機器類を操作する音が耳に入る程度だ。

 指令所では、約70人のJR東海、JR西日本、JR九州の指令員が交代制で勤務する。列車や乗務員を担当する運輸系と、設備や線路などを担当する工務系に分かれ、うち運輸系は輸送列車指令、輸送旅客指令、運用指令の3指令に細分化されている。

 濃紺の制服を身にまとった指令員たちのデスクには、モニターのほか、専用回線の電話、スイッチ類が備えられており、前方の総合表示盤と目の前の画面を食い入るように見つめながら、秒単位で変わる列車の運行状況の把握に努めている。1人で2~3枚のモニターを同時に注視する姿もかなり見られる。

 現在のように警戒、監視を続けている通常時は、いたって平穏な時が過ぎてゆく。それでも、荒天、災害や故障、事故といった異常がひとたび起きると、現地から瞬時に情報が送られて各画面に表示され、警報も鳴る仕組みだ。

「岐阜羽島駅付近でゲリラ豪雨が発生。最大瞬間風速28m以上!」

 例えば、こんな具合に告知された途端、数十人もの指令員が、いっせいに急いで関係する各駅に電話をかけたり、運転士に徐行運転や緊急停止の指示を出したりしなければならない。指令員同士でも、身振り手振りを交えて連絡事項を伝達する声が飛び交い、大忙しの状況になるのだ。

 冷静な判断力と注意力、それに瞬発力がモノを言う職場だと実感させられる。

AERA 2014年8月25日号より抜粋


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